帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の5月分を公表した。同月の景気DI(0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.4ポイント減の49.4と、2カ月連続で悪化した。「原油価格上昇が企業や個人のコスト負担増を招き、国内景気は足踏み状態が続いた」(同社)。51の業種別では、旅館・ホテルが同1.1ポイント減の50.6と、2カ月連続で悪化した。
ほかの業種を見ると、飲食店が同0.3ポイント増の45.0。娯楽サービスが同2.0ポイント減の39.5。増加は51業種中19業種にとどまった。
10の業界別では、6業界が悪化、4業界が改善した。このうち旅館・ホテルを含めたサービスは同0.7ポイント減の52.1と、2カ月連続で悪化した。「深刻な人手不足が続く中、生活必需品の値上がりで余暇に関連するサービスへの出費が抑制されたことにより、『娯楽サービス』や『旅館・ホテル』の景況感が悪化した」(同社)。
運輸・倉庫は同0.7ポイント減の49.3と、2カ月連続で悪化。「訪日外国人観光客数の増加やゴールデンウイークは旅行業および貸切旅客自動車運送のプラス材料となった」とする一方、軽油価格の上昇、ドライバー確保のための人件費負担がDIの悪化に影響したとみられている。
10の地域別では8地域が悪化。東海、中国の2地域が横ばいで、改善はなかった。このうち東北は同0.7ポイント減の45.0と、2カ月連続で悪化。全国比で東日本大震災直後の2011年4月(マイナス6.9)以来、最大の格差に広がった。復興需要が一巡した中、暖房需要の低減、仕入れ単価の上昇などコスト負担の高まりが景況感の悪化に影響したとみられる。
規模別では、大企業と中小企業が悪化。小規模企業が横ばいだった。
景況感に関する企業の主な声は次の通り。
「インバウンド関連の運行が好調」(現在、良い、一般貸切旅客自動車運送)。
「リゾートホテルやビジネスホテル、分譲マンション等の土地ニーズは多いが、ニーズに応える土地等の確保が大変難しくなってきている」(現在、どちらでもない、不動産代理・仲介)。
「低価格客層が多く、中間価格に顧客が集まらない」(現在、悪い、一般食堂)。
「訪日外国人の数は過去最高を更新しており、オリンピックを控え、インバウンド消費は堅調に推移すると想定している」(先行き、良い、中華・東洋料理店)。